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2024-03-15
Image: Created with ChatGPT and DALL-E by OpenAI

業務コミュニケーションにてカスタム絵文字を使う際は、適切な時と場面を選びたい

カスタム絵文字の意味を誤解された結果、事故にはならなかったがニアミスと言える程度の事象が発生した

KEY POINTS
  • テキストベースのコミュニケーションを補助するために、絵文字等の画像が使われることがある
  • 絵文字の意味を理解するためには前提知識の共有が必要で、それを考慮しない場合にすれ違いを生む
  • 想定されているものと逆の解釈をされると事故の原因になりかねないので、特別な場面ではなるべく暗黙の了解が最小限である一般的表現を使いたい

最近ビジネスチャットにてカスタム絵文字を使ったことが起因で、事故には至らなかったけどヒヤッとした場面を見かけました。
これは誰が悪いというわけでも無く、ぶっちゃけ言って笑い話だと思います。

とはいえこのまま忘れさられるのはもったいない、非常に教訓のある話でもあります。なので少し書いてみることにしました。


業務コミュニケーションと絵文字

ここ10年ほどで世界的に使われるようになった主要なビジネスチャットシステムでは、テキストベースのコミュニケーションを補助するために絵文字が使われることが多いです。

絵文字文化は日本だけでなく世界中に広まっており、 世界絵文字デー なんてものが生まれる程度に広まっています。

👍とか👀のような普遍的な絵文字(事実上「デフォルト設定で使用可能な絵文字」) であればおそらく世界中どこでも通じるでしょう。

一方チャットシステムによってはカスタム絵文字を好き勝手に登録することが可能で、普遍的ではないミーム的画像絵文字を登録して使うことが可能になっています。

しかしながら普遍的ではない絵文字を使ったコミュニケーションには「教養や背景が異なると意味が通じない」という避け難い問題が存在しています。
育った地域や国、体験、教育などで解釈が変わってしまうのです。

実際にあった、事故には至らなかったけどヒヤッとした場面

ある日の深夜、普通の人は寝ている時間帯にサーバーのメンテナンス作業を行っていました。
何事もなく全ての手順が終わり、あとは止めたシステムを動かすだけです。

作業担当者が「一通りの作業がすべて完了しました。システムの有効化を今からやりましょうか?」とある人に問いかけました。
すると返事として以下のカスタム絵文字が返されました。この切り抜きかたは「原文ママ」です。

まだあわてるような時間じゃない

その返事を受けて 有効化は即時実施 されました。

・・・おそらくこの絵文字の文脈を理解できる人であれば「どうしてこうなった!?」と感じると思います。

この絵文字は何?

これはSLAM DUNKというバスケットボール漫画の有名なシーンです。一連の流れはだいたい以下のようになっています。
ジャンプコミックスSLAM DUNK 19巻 155-162ページ にあります。
(作者の意向でSLAM DUNKの電子書籍が出ておらず、ミーム的に使うならともかく完璧な画像を入手するのは地味にめんどくさかった・・・)

仙道彰

試合が相手の方向に流れており、残り時間が10分を切る。
チームが落ち着きを失いかけた時にその一言で冷静さを取りもどす・・・というシーンです。
どこかで見たことのある名言が大量に出てくるあたりなので、切り抜きしか見たことがない人はぜひとも原作を読んで続き& 結末 を知ってください。

電子書籍がない実質完結漫画なので、漫画喫茶にいって一気に読んじゃうのが良いでしょう。あまりにも有名すぎる漫画なのでどこにでも置かれていると思います。

絵文字の意味するところと、実際の解釈

この場面では「ちょっとだけ待って」くらいの意味合いを持っているものと言えます。
航空無線などで使う言い回しのaffirm or negativeとして言い換えるのであれば、 negativeに相当するもの でしょう。

これは著名なシーンです。電子書籍が出てないのにコマがコピーされまくってミーム化する程度に有名です。

しかしながら SLAM DUNKに関する前提知識が全くない(このコマに「まだあわてるような時間じゃない」というセリフが書かれていることを知らない)状態 で受け手がこれを見たときに「これはaffirmに相当するもの」であると判断してしまうことがありえます。
全人類全世代の誰もがSLAM DUNKを読んでいるわけではないのです。

私が見た実際の場面では、読み手がその絵文字を affirmとして認識 したので有効化が即時実施されました。
この問いかけは、あらゆる準備が終わり確認も済んだあとの「念の為最終確認の最終確認」みたいなものでした。
なので結果的には特に大事にはなりませんでした。

とはいえコミュニケーションのすれ違いとしてはなかなかヒヤっとするシーンでした。

教訓

絵文字は人によって解釈が異なるということを認識しないといけない(特にカスタム絵文字)

ある意味当然ではあります。でも当然だからこそ忘れがちなので気をつけたいところです。

たとえば身近にこんなことはないでしょうか?

誰かがチャットで発言したとします。すると別の人が内容を理解はしてないけど相槌を打つ目的で謎絵文字リアクションをつけ、一方でリアクションをつけられた発言を行った人は「リアクションをつけた人は私のこの発言を100%理解している」と考えてしまい、微妙に認識のずれが起こってしまう…。
こういうことはどこでも時々起こりうるものだと思います。

先述のヒヤっとする場面とまではいかないものの、まさに絵文字の解釈に関連する身近な問題です。
こういうちょっとしたすれちがいを無視せず気づくことができるよう、ある程度のリテラシーを持っておきたいところです。

暗黙の了解が大量に必要なコミュニケーションは場面を選ぼう

今回の件では使用した場面が単に適切ではなかったと思います。実際以下のような事情を持つ場面でした。

  • サーバーのメンテナンスという、相応に重要な作業を行なっていた
  • 人間の集中力低下が絶対に避けられない深夜早朝作業だった

とはいえ、ハイコンテクストなコミュニケーションは全くやっちゃダメなのかというとそうではなく、時と場合によると私は考えています。

(大統領とかの特別な仕事やってる人は別として)通常は24時間365日いつでも厳密な判断が求められるわけじゃないですよね。
またチームで仕事をしている中でチームに共通の価値観が全くないなんてのもありえないでしょう。

何かに押されている場面で「まだあわてるような時間じゃない」を我々がやらないといけない場面もあるでしょうし、ちゃんと時と場合を選んで使えば武器になるはずです。

参考になりそうな資料

Grammarlyのブログに色々と良いものがいっぱいあります。さすがはその道のプロ?という感じでしょうか。
全体的に出典がちゃんと書かれている傾向にあり、リンクを辿っていけば元ネタの論文とかを読むことができます。

あと、たまたま目についたサイトにて面白い記事を見つけたので追加しておきます。

Change Log
  • 2024-03-16: 教訓の部分に一部欠損があったので修正
  • 2024-07-05: 参考資料をさらに追加